〜梅雨に多い病害虫とその対策をプロが解説〜
6月に入りいよいよ梅雨の季節がやってきました。来週からは本格的になりそうですね。
梅雨は入りたての方が強い雨が降るらしいですよ。
しとしとと続く雨、これ実は庭木にとっても要注意な時期なんです。
湿気が多くてごちゃっとしている箇所には「病気」や「害虫」の標的になりやすいんです。
せっかく育ててきた庭木が気付けばカビだらけ、、、なんてことも。
この記事では、梅雨時期に特に注意したい病気や虫たちを紹介しつつ、プロの植木屋だからこそ知っている対策もあわせてお届けします!

よく出る病気とその特徴
- うどんこ病
サルスベリ、ウバメガシなどの広葉樹によく被害が出ます。
小麦粉のような白い粉が葉の表面や裏面、または両面に発生することも。茎にもつくこともあるので要チェック!
これがつくと生育が阻害され、葉が黄色くなって縮れたりもすることもあります。最悪の場合株全体が枯れることもあるので注意が必要です。
発生しやすい条件
湿度が高い環境、風通しが悪い環境、日当たりが悪い環境が良くないです。
北側で塀に囲まれているお庭は注意かもしれませんね。
うどんこ病の対策
まずは予防、日当たりをよくして、風の通る庭にしておくこと。湿気を避けて、株を清潔な状態に保つことが大切です。
それでもうどんこ病になってしまった場合は、早期発見に越したことはないです。症状がでたら早めに切り取って捨てましょう。
軽症の場合、水で薄めた重曹や酢なんかも効果的です。
重症の場合は、うどんこ病用の殺菌剤を散布しましょう。
うどんこ病は植物の表面でしか繁殖できないため早期発見、早期対策が重要です。
- 黒星病(黒点病)
黒星病は、カビの一種です。果樹やバラなどに発生することがあります。
せっかく育てた果樹がカビに攻撃されるのは辛いですね。葉に黒色の斑点が出てきて、徐々に広がって落葉することがあります。また、果実にも黒い斑点が発生することがあるので注意しましょう。
発生しやすい条件
カビによる繁殖、感染なので湿度の多い環境は避けた方が良いでしょう。土壌のバランスが悪くなっている可能性もあります。定期的に土壌改良を視野に入れましょう。
黒星病の対策
土壌を水捌けの良いように改良しましょう。また、定期的に観察し、早期発見し感染した枝を除去しましょう。一度感染した枝は他の植物に感染させてしまう恐れがあるため適切に処分しましょう。
黒星病は一度感染すると治りにくいです。感染すると、落葉し衰弱してしまうので定期的な観察をおすすめします。
- 炭そ病
炭そ病は、ツツジ、クスノキ、モッコクなどに被害が多いです。葉や果実に、円形、または、不整形の褐色、黒褐色、漆黒色の病斑が現れます。
葉は勢いがなくなり落葉することもあります。
発生しやすい条件
湿度が高いと発生しやすくなります。炭そ病はカビの一種なので風や、雨によって胞子が飛んで伝染しやすくなります。
炭そ病の対策
病原菌が発生した土壌を取り除くのがよいでしょう。または、発病葉を取り除くことが必要です。殺菌剤を使うのも一つの手ですね。
梅雨の時期に活発になる虫たち
- チャドクガ
ツバキ、サザンカの天敵!私たちもこの時期になると、まずはチャドクガがいないか見回ります。知らずに触れてしまった場合は着ていた服を捨てないといけませんからね。
本当にそれぐらい危険ですので注意しましょう。
→ 対策:5~6月の孵化期に要注意。早朝や雨の日の作業時は触らないように。発見したらすぐに剪定+焼却処分。防除にはスミチオン、トレボンなどの殺虫剤。
- アブラムシ
新芽を吸って植物を弱らせる。しかも病気を媒介する厄介者。葉っぱを触るとベタベタになっているので嫌な感じです。病気を媒介するのは余計な手間もかかるので早めの対策をおすすめします。
→ 対策:テントウムシなどの天敵を活かすのもあり。広がる前なら牛乳スプレーも効果的。多ければ薬剤で。
- ナメクジ
夜に出てきて新芽や花をムシャムシャ。見た目も嫌われがち。
あまり害虫というイメージはないかもしれませんが、植物にとっては敵とみなしてかまわなおでしょう。
→ 対策:ビールトラップやナメクジ忌避剤、こまめな掃除で湿った落ち葉を減らす。
プロが教える!梅雨時期の庭木のメンテナンスポイント
梅雨は「湿気」と「気温の上昇」で病気や虫が一気に増える季節。
でも大丈夫です!ポイントさえ押さえておけば、しっかり守れるます。
植木屋として現場で実際にやってる対策を、5つにまとめました!
① 剪定は“梅雨入り前”か“雨の合間”がベスト!
葉が密集してると風通しが悪くなって、病気や虫がつきやすくなるから、梅雨前に軽く剪定して「風の通り道」をつくるのが大事。
雨の合間でもOKです。切るときは、枝が重なってる所や、内側に伸びてる枝を意識して整えるとかなり効果的です。
② 落ち葉・枯れ葉・花がらは“こまめに掃除”
湿った落ち葉や枯れ葉は、カビや菌の住処になるし、ナメクジとか害虫の隠れ家にも。
できれば週1〜2回は、ほうきや熊手で集めて、清潔な状態を保っておこう!
ちっちゃくても電気のブロワーなんかがあると便利ですよ!
③ 雨上がりに“殺菌・殺虫剤”を使うのが効果的
薬剤を使うなら、雨がやんだ直後の晴れ間がベストタイミング。
濡れてる葉にかけると効果が下がるから、乾いたタイミングでサッと散布しましょう。
害虫対策には「トレボン」「スミチオン」や「オルトラン」、病気には「ベンレート」「ダコニール」などが定番です。
④ 株元の“水はけチェック”もしっかりと!
鉢植えや庭木の根元が、水たまりになってないか要確認。
過湿で根腐れするケースも多いから、土が常にビチャビチャだったら、
・鉢の受け皿の水を捨てる
・軽く土をほぐしてあげる
・腐葉土を混ぜて排水改善
などのひと手間が大事になってきます!
⑤ 「変化」に気づけたら勝ち!日々の観察を習慣にしよう
「葉が縮れてきた」「変な虫がいる」「黒い斑点が出てる」など、
ちょっとした異変に早めに気づけるかが勝負の分かれ目。
毎日じゃなくても、週に1〜2回じっくり庭を眺めて、「いつもと違う」に気づける目を育てていきましょう!
プロでも完璧に防げるわけではないですが、ほとんどの原因が湿気と風通しの悪さです。
“早めの剪定・清掃・薬剤・観察”がそろえば、被害はグッと減らせます!
梅雨は、ただ雨が降るだけの季節じゃありません。
自然のうつろいに合わせて、庭も静かに呼吸を変えています。
そんな季節だからこそ、大切なのは「ちょっとした気づき」と「ひと手間」。
雨音を聞きながら、庭をそっと眺める時間も、暮らしの楽しみのひとつになりますように。
庭は、暮らしの延長線。
手をかければ、ちゃんと応えてくれる。
この梅雨も、大切な庭木たちと、健やかに過ごしていけますように。