庭木は「切る」より「整える」もの
庭に植えたオリーブの木。放っておくと枝葉がどんどん茂り、形が崩れてしまいます。
「大きくなったからとりあえず切っておこう」──そんな気持ちで枝を落としてしまう方も多いですが、実はそれでは木にとって逆効果になることも。
剪定とは、ただの“枝切り”ではありません。
木の未来をデザインし、暮らしの景色を整える作業です。
この記事を読むと──
- オリーブを剪定する正しい時期と頻度
- 入れ替え剪定・透かし剪定のやり方と考え方
- プロが「残す枝・切る枝」をどう判断しているか
- 剪定でやってはいけない失敗例
- 庭木が暮らしに与える影響
これらが分かります。
今回は、実際に海沿いの斜面で行ったオリーブ剪定のビフォーアフター写真を交えながら、プロ目線で詳しく解説します。
剪定前と剪定後の違い

- 剪定前
枝葉が密集して重たく見え、風も光も通りにくい状態。幹が見えず、全体のバランスが悪い。

- 剪定後
枝を整理することで幹がすっきり見え、光や風が通りやすくなった。木全体が軽やかで健康的に。
この変化こそが剪定の醍醐味。
ただ見た目を整えるだけでなく、木が呼吸できる環境をつくることが大切なのです。
オリーブという木の特徴と剪定が必要な理由
オリーブは地中海沿岸が原産で、日本でも庭木として人気があります。
常緑樹で一年中葉をつけ、成長も早め。
ただし注意点もあります。
- 枝が混みやすい
- 蒸れに弱く、病害虫(特にカイガラムシやハマキムシ)が発生しやすい
- 樹形が乱れやすい
だからこそ、定期的な剪定で風通しを確保することが欠かせないのです。
剪定の基本方針
今回のオリーブ剪定では、次の3つを意識しました。
上向きの柔らかい枝を残す

オリーブは太陽を好む木。
そのため、上向きに伸びる柔らかい枝は将来の主役になります。
これを残すことで、樹形が自然にまとまり、健やかな成長が望めます。
入れ替え剪定で若返り
古い枝をそのままにすると、光や栄養を奪い合い、木全体が弱ってしまいます。
「入れ替え剪定」で古枝を整理し、若い枝に役割を譲ると、木に新しい活力が生まれます。
透かし剪定で風通しを良くする
枝葉が込み合うと蒸れや病害虫の原因に。
透かし剪定で適度に空間をつくると、光と風が通り抜ける健康的な木になります。
プロ目線で見る「残す枝」と「切る枝」
剪定は「切る技術」ではなく「残す判断力」。
プロは一本一本の枝に“役割”を与え、理由を持って残すか切るかを決めます。
- 将来の骨格を担う枝 → 残す
- 内向き・下向きに伸びる枝 → 切る
- 込み合って邪魔し合う枝 → 切る
この判断を間違えると、木はバランスを崩し、翌年以降の成長にも影響します。
剪定の時期はいつがベスト?
オリーブの剪定は基本的に春先〜初夏(3月〜6月)、または秋口(9月〜10月)が適期。
真夏や真冬は避けた方が安心です。
- 夏:高温で樹木が弱りやすい
- 冬:寒さで切り口が傷みやすい
このタイミングを意識するだけで、木の回復力が変わります。
剪定でよくある失敗
オリーブを含め、剪定でありがちな失敗例は以下の通りです。
- 丸刈りにしてしまう
→ 木が弱り、枯れ込みの原因に。 - 切りすぎる
→ 翌年の芽吹きが悪くなる。 - 理由なく切る
→ 残すべき枝まで落とし、樹形が乱れる。
「切ること」に集中せず、“残す理由”を考えることが成功のポイントです。
Q&A|オリーブの剪定にまつわるよくある質問
Q1. オリーブの剪定はいつやればいいですか?
A. 基本は春(3〜6月)と秋(9〜10月)です。
春は新芽が出る前に形を整えるのに最適。秋は夏に伸びた枝を整理して、冬越しの準備ができます。
真夏や真冬の剪定は木に負担が大きいので避けましょう。
Q2. 剪定はどれくらいの頻度で必要ですか?
A. 年に1〜2回で十分です。
オリーブは成長が早い木なので、春と秋の2回整えるとベスト。ただし小さな木や鉢植えの場合は、年1回でも大丈夫です。
Q3. 自分で剪定しても大丈夫ですか?
A. 可能ですが、切る場所を間違えると木が弱るリスクがあります。
特に「入れ替え剪定」や「透かし剪定」は判断力が必要。
初心者はまず「内向き・下向きの枝を切る」「込み合った部分を間引く」程度から始めると失敗が少ないです。
Q4. 切りすぎてしまったらどうなりますか?
A. 枝を切りすぎると、翌年の芽吹きが悪くなったり、樹形がアンバランスになります。
切り口が多すぎると病気の原因にも。
不安な場合はプロに一度相談すると安心です。
Q5. 剪定しないとどうなるの?
A. 枝葉が混み合って蒸れ、病害虫の被害が増えるほか、幹が見えず景観も損なわれます。
放置されたオリーブは「ただの木」になってしまい、庭木としての価値が半減します。
剪定することで初めて「庭にあるオリーブらしさ」が引き立ちます。
剪定が暮らしに与える影響
庭木の剪定は、見た目の美しさだけでなく、暮らしの快適さに直結します。
- 光が差し込む庭 → 家の中も明るく
- 風が通る庭 → 夏場の涼しさが違う
- 整った樹形 → 景観としての価値が上がる
庭は生活の背景。そこが整うと、毎日の暮らしも軽やかになります。
まとめ|オリーブの剪定は未来をつくる
今回のオリーブ剪定では、
- 上向き枝を残す
- 入れ替え剪定で若返り
- 透かし剪定で風通しを良くする
この3つを意識して整えました。
オリーブに限らず、剪定は木の未来を左右する大事な仕事です。
「どう残すか」を考えるだけで、庭も暮らしも驚くほど整っていきます。
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