はたらく日和

【密着】植木屋の1日ってどんな感じ?リアルな流れと“暮らしのリズム”を紹介

「植木屋さんって、何時に帰れるんですか?」

これは、よく聞かれる質問のひとつです。

植木屋さんは外で体を使って働くイメージはあるけど、具体的な1日って、あまり知られていないかもしれません。

たしかに暑いし、寒いしでしんどそうと言われることが多いです。

「すごいなー」「俺にはでけへんわ」と褒められてるのか、皮肉を言われているのかわからないことを言われることがあります。(笑)

今日はそんなイメージを覆せるように、現役の植木屋として働く僕のリアルな1日をご紹介しながら、

「終わったら帰る」植木屋という働き方の魅力や、“暮らしと仕事がつながる”感覚をお届けしたいと思います。

一日を通して見えるのは、木の姿だけやなく、自分の暮らしのかたちかもしれません。

🌅大体 7:00集合。「一日のはじまりは、最終確認で決まる」

朝は早めのスタート。まだ太陽も高くない時間帯に集合します。

前日の夕方に用意していた道具を、忘れ物がないか確認しながら、今日の現場のことを頭の中でイメージします。

ここで忘れ物がないか確認するのがひとつのポイントです。

もしも、忘れ物をすると大幅なロスが生まれます。

現場が近ければそんなにはロスになりませんが、遠ければ誰かひとり置き場までとりに帰る時間が無駄になります。

例えば、掃除道具の熊手を忘れると、近くのホームセンターで買うという手段もありますが、余計な出費になるので出来るだけ避けたいですね。

鋏のチェックも大切です。剪定バサミの刃を指で軽く確認すると、自然と気持ちも引き締まります。

切れ味が悪いと、枝を切った時にスパッと切れず、ネチっと噛んだような感じになるので効率とテンションが下がります。

朝は早いけど「眠い」よりも「今日の庭、どんな感じになってるやろう」という気持ちの方が勝つ。

この感覚が、ちょっと気に入っています。

🚚 大体8:00到着。静かな庭に、一歩入る。

現場に着いたら、まずは挨拶と全体を見るのと、周囲の確認。

お客様のお庭に足を踏み入れた瞬間、その空間に流れる“気配”を感じ取ります。

去年より伸びている枝、風に揺れる葉、土の乾き具合、全部が今日の作業のヒントになります。

お客様のお話を聞きながら、メンバーに共有していきます。

時々、「この木は切らないでほしい」や「わざとその実生木をおいてるんです」と言われる方もいらっしゃいますからね。

段取りを確認し、それぞれが持ち場に散っていく。

誰に言われなくても動けるのは、この仕事が“段取り八分”でできているからです。

✂️大体 8:30作業開始。「技術」と「感覚」のあいだ

朝のうちは、庭の奥から攻めていきます。なぜなら、手前を先に綺麗にしても、奥から剪定枝を運び出してくる時に汚れ、二度手間になってしまうからです。

さらに、体力が必要な作業を優先的に進めます。

大きめの木の剪定や刈り込みに取りかかるのが基本。

これも先に下草の整理や低木に取り掛かっても、後で上の木を切ると下が汚れるので上から攻めるのがセオリーです。

でも、ただ“枝を切る”だけではありません。

この木の枝ぶりは、どんな風に整えたら風が通るか。

どの枝を残せば、来年もっと元気な葉が出るか。

一本一本と、会話するように剪定していきます。

ゆっくりするわけでもなく、適当にするわけでもない。

技術はもちろん必要ですが、“手先の感覚”のほうが大事だと思う瞬間もあります。

🍱 大体11:30 昼休憩。「木陰で食べるごはんは、やけにうまい」

12時まで待てないのが僕のお腹。

ちょっと早くてもキリがいいところでご飯の時間。

休憩も、昼食も時間に決まりはありません。気持ちの良いところまで作業して手を止める。

道具を置いて、木陰でお弁当を開く。

ただそれだけの時間なのに、外で食べるごはんは、どうしてこんなに美味しいんでしょう。

寒い時は車の中で食べます…

「この現場、掃除しやすいな」

「この時期は、やっぱり◯◯の木が大変やな」

「昨日帰ってからなにしてたん」

などの他愛のない会話が、自然と流れる。

でも、無理に喋らなくてもいい。そんな空気もまた心地いい。

🌿 大体13:00 午後の仕上げと、見えない部分の仕事

私、休憩が長いんです。昼寝が好きで。

起きたら午後は、作業の“仕上げ”の時間。

小さな木を丁寧に切ったり、下草を整えたり、落ち葉をブロアで集めたり。

この時間帯に大事なのは、“見えない部分”をどう扱うか。

「人が目にするところ」だけじゃなくて、「あとで気づく場所」まで、きちんと手を入れる。

とゆに詰まった落ち葉を取り除いたり、そもそも、とゆに枝がかかっているなら自然な形で剪定したりします。

掃除ひとつとっても、ただ落ち葉を集めるんじゃなく、“庭に風を通す”イメージで。

溝の掃除や、隙間の掃除なんかは丁寧に仕上げます。

見えないところまで手をかけるからこそ、庭全体が整って見えるんです。

🧹 大体15:00 作業完了。「ありがとう」が、疲れを吹き飛ばす

最後に、掃除・確認・道具の点検。ここでも忘れ物がないかの確認をします。

道具をしまいながら、お客様が声をかけてくれます。

「丁寧にしてくれて、ありがとうね」と言いながら飲み物をくれます。

そのひと言で、体の疲れがふっと軽くなる瞬間があります。

植木屋という仕事は、技術職でありながら、“心を伝える仕事”でもある。

それを教えてくれるのは、現場と、お客様の言葉です。

体がへとへとでも次の日にまた動けるのは、こういった言葉があるからです。

お客様と親密にお話ができるのは植木屋の特権です。

🕓 大体16:00 解散。「やることやったら、今日はもう終わり」

現場がきちんと終われば、それが“定時”。

植木屋の世界には、いわゆるサラリーマンのような「○時まで働く」という決まりはありません。

だからこそ、「時間より内容」――それが大切になります。

早く終わった日は、すぐに帰って家庭に尽くします!

妻より早く帰ってご飯を作って待つのが気持ちがいいんです。

同棲、新婚カップルの家事の分担についての記事はこちらです

自分の“暮らし”をちゃんと持てる働き方は、本当にありがたいです。

子供を授かっても、助け合って過ごして行けたらいいなと思っています。

子育て先輩の方がご覧になってましたらアドバイスよろしくお願いします。

🪴植木屋が「働く」と「暮らす」をつなげる理由

植木屋という仕事を選んだ理由は、人によって違うと思います。

でも僕は、“暮らしの中に仕事がある”という生き方に惹かれました。

最初は単純にかっこいいなと感じたからですが。

この働き方は、決してラクじゃない。体力も使うし、暑さ寒さとも向き合うし、

何より“手を抜けない”仕事です。

けれど、自然と関わりながら、丁寧に暮らしていく日々は、

確実に僕の人生を整えてくれている気がします。

🎋最後に:これからも、こういう日々を積み重ねていきたい

今はまだ、僕は独立前の職人です。

けれど、「将来自分の名前で仕事をする」という想いを持ちながら、

目の前の現場を一つずつ丁寧にこなすことが、今できる最大の準備だと思っています。

日和舎という名前には、「前向きな日を重ねていく」という意味を込めました。

→日和舎に込めた想い

今日のこの1日が、また次の“いい日”につながっていく。

そんな毎日を、これからも続けていきたいと思います。

これからも応援よろしくお願いします。

今日も、いい日になりますように。

また明日、木のそばで会いましょう。

日和舎はInstagramを開設しましたのでこちらも気軽に見ていってください。