「ちょっと切っただけ」の積み重ねが、一番怖い

剪定の相談で、初心者の方からよく聞く言葉があります。

  • 「邪魔やった枝を少し切っただけです」
  • 「そんなに切ったつもりはないんですが…」
  • 「自分でできるところだけ触りました」

でも実際に庭を見ると、
典型的な“初心者剪定のミス”がいくつも重なっていることがほとんどです。

この記事では、
現場で本当によく見る
初心者がやりがちな剪定ミス5選を、

  • なぜやってしまうのか
  • なぜダメなのか
  • 将来どうなるのか

という流れで、プロの視点から解説します。


ミス① なんとなく邪魔だから「ぶつ切り」にする

一番多いミスがこれです。

  • 通路に当たる
  • 目の前に枝が来る
  • 視界が悪い

👉 とりあえず切る
👉 枝の途中でバツッと切る(ぶつ切り)

なぜダメなのか

ぶつ切りをすると、木は

  • 切り口のすぐ下から
  • 無理やり芽を出そうとする

結果として、

  • 枝先が不自然に増える
  • 同じ場所が毎年暴れる
  • 樹形がどんどん硬くなる

👉 「邪魔だから切る」が、将来もっと邪魔になる

この悪循環は、
後から直そうとするとかなり大変です。


ミス② 予備軍を残さず、若い芽を切ってしまう

これも初心者に非常に多いミスです。

なぜ切ってしまうのか(心理)

  • 若い芽は小さい
  • 今は影響が少なそう
  • 細い枝なら切っても大丈夫そう

一方で、

  • 太い枝
  • 目立つ枝

は「切るのが怖い」ため、
無意識に小さい芽から先に切ってしまう

👉 これが一番やってはいけない判断です。


なぜダメなのか

剪定の基本は、

👉 若い芽を育てて、古い枝と入れ替える

ことです。

ところが、若い芽(予備軍)を先に切ってしまうと、

  • 枝先でしか更新できなくなる
  • 内側がスカスカになる
  • 入れ替え剪定ができなくなる

結果として、

👉 「切りたいけど切れない木」
になっていきます。

これは、
「切りすぎ防止|剪定量の基準」
で解説している
剪定量の考え方とも深くつながっています。


ミス③ 手の届く範囲だけ触って、届かないところは放置

これも本当によくあります。

  • 脚立は怖い
  • 高いところはプロに任せる
  • とりあえず下だけ整える

一見、安全で正しそうですが、
実はこれが形を一番崩す剪定です。

何が起きるか

  • 下だけスカスカ
  • 上だけモサモサ
  • 重心が上に偏る

結果として、

  • さらに上へ伸びる
  • 手に負えなくなる
  • 後からの剪定費用が高くなる

👉 手の届く範囲だけ剪定する=将来の負担を増やす

届かない時点で、
そこはもうプロ案件です。


ミス④ 時期を考えずに強剪定する

「時間があるから今切る」
「年末やし切っとこう」

これも初心者がやりがちな判断です。

何が起きるか

  • 光合成できずに弱る
  • 回復が追いつかない
  • 最悪、枯れる

特に、

  • 真夏の強剪定
  • 真冬の常緑樹の強剪定

は、
木にとって致命的になることがあります。

この点は、
「やってはいけないNG剪定(強剪定・丸坊主)」
の記事でも詳しく解説しています。


ミス⑤ 一本の木だけを見て、庭全体を見ていない

最後が、いちばん大事なミスです。

初心者の剪定は、

👉 「この木、邪魔やな」

と、
一本の木だけを見て切ってしまいがちです。

でも庭は、

  • 下草
  • 空間
  • 抜け

すべてが合わさって、雰囲気が決まります。

なぜ問題か

  • 一本は整っている
  • でも庭全体はちぐはぐ
  • 自然さが消える

自然な庭づくりを目指すなら、

  • 切らない木があっていい
  • 今年は触らない木があっていい
  • 数年単位で作り続けていく

この視点が欠かせません。

これは
「剪定で形が崩れたときのリカバリー方法」
の記事で書いた
年単位で戻す考え方ともつながります。


初心者剪定に共通する失敗の正体

ここまでの5つに共通するのは、

  • 今だけを見る
  • 切る前提で考える
  • 先の姿を想像していない

という点です。

その結果、

  • 入れ替えができない
  • リカバリーが難しくなる
  • 年々、管理費用が上がる

という未来につながります。


初心者が失敗しにくくなる3つの考え方

自分で剪定するなら、
最低限この3つだけは守ってください。

  1. 切る前に「残す枝」を決める
  2. 若い芽(予備軍)ほど大切にする
  3. 庭全体を一度引いて見る

そして一番大事なのが、

👉 迷ったら切らない

これが、
失敗しない一番の近道です。


よくある質問(Q&A)

Q1. 若い芽を切らずに残すと、モサモサしませんか?

一時的には見た目が荒れることもありますが、
若い芽があるからこそ、後で入れ替え剪定ができます。
最終的には、そのほうが自然で管理しやすくなります。


Q2. 大きい枝を切るのが怖い場合はどうすればいい?

無理に切らなくて大丈夫です。
大きい枝を切る判断が必要な時点で、
プロに相談する価値があります。


Q3. 自分で剪定して失敗した場合、元に戻せますか?

多くの場合、戻せます。
ただし「すぐ直そう」と切り続けると悪化します。
詳しくは
「剪定で形が崩れたときのリカバリー方法」
を参考にしてください。


Q4. 初心者はどこまで自分でやっていい?

軽い整理程度までです。
剪定量の目安は
「切りすぎ防止|剪定量の基準」
を基準に考えると安全です。


Q5. 自然な庭にしたい場合、剪定は必要ですか?

必要です。ただし「作り込む剪定」ではありません。
切らない木を残し、数年単位で整えていく。
これが自然な庭づくりの剪定です。


まとめ|剪定は「うまく切る」より「切らない判断」

最後にまとめです。

  • ぶつ切りは将来を苦しめる
  • 若い芽(予備軍)を切るのが一番危険
  • 手の届く範囲だけ触ると形が崩れる
  • 時期無視の強剪定は木を弱らせる
  • 一本ではなく、庭全体を見る

剪定は、
上手に切る技術よりも、

👉 切らない判断ができるかどうか

ここで、
庭の完成度は大きく変わります。


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