はじめに:ただの解説じゃなく、僕の失敗談から
庭木の葉っぱが「縁から茶色くパリパリ」になる症状。
ネットで調べると「日焼けです」「水やり不足です」と同じ内容が並びます。
でも実際に現場で見てみると、それだけじゃない原因が複雑に絡んでいることが多い。
僕自身も「このくらい大丈夫だろう」と思ってやらかした失敗がたくさんあります。
この記事では、僕が経験したリアルな失敗と改善策をまじえながら、原因と対処法を整理します。
あわせて、農水省や園芸学会など公的資料の情報も取り入れ、根拠ある解説にしました。
葉が茶色くなる主な原因
日焼け(葉焼け)
夏の直射日光で葉の水分が一気に蒸発。特に斑入り葉や新芽は弱いです。
👉 詳しくは過去記事「雑木の庭を台無しにしないために|剪定方法の違いを解説」でも、“自然風庭”における日照リスクについて触れています。
水不足・根のダメージ
庭木が葉を茶色くする原因の中でも特に多いのが「水不足」です。

メカニズム
- 新植直後:根がまだ土に広がっていないため、根鉢のごく狭い範囲からしか水を吸えません。ちょっとでも乾燥すると葉先から枯れ込みます。
- 鉢植え:土の量が限られているため、夏は朝に水をやっても午後にはカラカラになることがあります。
見分け方のポイント
- 葉の先端や縁から乾き始める
- 葉の表面全体ではなく、部分的に焦げたように枯れる
- 水を与えると軽く復活することもある
対策
- 雨に頼らず、ジョウロやホースで根鉢の外周まで水を浸透させる
- 鉢植えは鉢底から水が出るまで与える
- 乾燥の激しい夏は朝夕の2回灌水も検討する
- 根元をマルチングして水分の蒸発を防ぐ
👉 農林水産省の「樹木管理マニュアル」でも、新植1年目の灌水は特に重要と明記されています。
西日や反射熱
次に注意したいのが「西日」と「反射熱」。
これは特に住宅街やマンションの庭で深刻な問題になります。

メカニズム
- 午後は気温が最も高くなる時間帯。そのタイミングで西日が直撃し、葉の温度は40〜50℃に達します。
- 壁やコンクリートの反射熱・輻射熱でさらに加熱。夜まで熱がこもり、葉が焼ける原因になります。
見分け方のポイント
- 西側や壁際の枝葉だけが茶色くなる
- 全体ではなく片側だけ焦げるのが特徴
- 葉の上半分に集中することも多い
対策
- **遮光ネット30〜50%**で西日をやわらげる
- 壁際に植える場合は30cm以上離す
- 背の高い木や下草を利用して半日陰を作る
- 鉢植えなら夏は北側や半日陰へ移動
👉 園芸学会の研究では「西日の直射と壁の反射が重なる場所では、葉の焼けが顕著に出やすい」と報告されています。
ポイント整理
- 水不足=根から吸えないストレス
- 西日=葉が焼かれるストレス
- どちらも「茶色くなる」という結果は同じでも、原因と対策は異なります。
肥料やけ
肥料を多く与えすぎて根が傷み、水が吸えず葉が枯れるケース。
👉 これは農林水産省の「肥料の与え方ガイドライン」でも注意されている内容で、特に真夏の施肥はリスクが高いとされています。
失敗談① 「新植直後に水やりを甘くした」
ある夏の日、ヤマボウシを植え付けた直後に「昨日雨が降ったし大丈夫だろう」と水やりをサボりました。
数日後…葉っぱの縁がチリチリに茶色く変色。
掘り返してみると、細い根が乾き切っていたんです。

改善したこと
- 新植1年目は「雨が降っても水やりする」をルール化
- 1株につき10L以上を一気に浸透させる
- 表面だけ濡らすのではなく、根鉢の外側まで水を届ける
👉 同じ失敗を防ぐために書いたのが「真夏前にやっておく庭の準備5つ」。こちらも参考にしてください。
失敗談② 「西日の直撃を甘く見た」
斑入りのドウダンツツジを日当たり最高の場所に植えたことがあります。
最初は元気に見えたけど、7月の強い西日で一気に葉が焼けました。
特に斑入りの葉は緑葉より弱い。反射熱も加わり、上半分がパリパリに…。

改善したこと
- 夏の西日が直撃する場所には植えない
- 壁際にはすだれや遮光ネットを設置
- 他の木や下草で日陰を作る工夫をする
失敗談③ 「真夏に強剪定してしまった」
葉が混み合って暑そうだからと、真夏にサカキの枝を大胆に切ったことがあります。
結果 → 葉の量が減り、残った葉がさらに焼けて全体が弱ってしまった。

改善したこと
- 真夏は強剪定しない
- 枯れ枝や交差枝だけ軽く整理
- 大きな更新剪定は冬の休眠期に計画
👉 剪定の考え方については「剪定の本当の意味は『枝を切る』ことじゃなかった」でも詳しく書いています。
プロが伝える「今日からできる応急処置」
- 水やり
新植は週2〜3回、1回につき10〜20Lをしっかり。鉢植えは鉢底から水が出るまで。 - 遮光
遮光ネット30〜50%やすだれで西日をやわらげる。 - マルチング
腐葉土やバークを3〜5cm敷き、根の乾燥を防ぐ。
園芸学会の研究によると、土壌表面をマルチングすることで土壌水分の蒸発を30〜50%抑制できると報告されています。
再発を防ぐ「根本対策」
場所と光
- 西日直撃の場所には弱い木を植えない
- 斑入り・常緑広葉樹は半日陰が安心
水やり設計
- 夏は朝か夕方にたっぷり
- 表面が乾いたら、根まで届くように与える
土と根の健康
- 腐葉土を混ぜて排水性と保水性を両立
- 真夏の追肥は控える
剪定と季節のケア
- 強剪定は冬の休眠期に
- 夏は整理程度にとどめる
樹種別の注意点
- 斑入り植物:日焼けしやすい → 半日陰へ
- 浅根性(アジサイ・ツツジ):乾燥に弱い → マルチ必須
- ハナミズキ系:西日と乾燥に弱い → 遮光ネット有効
- 常緑広葉樹:新芽期は風避け必須
よくある質問(Q&A)
Q. 茶色い葉は全部取った方がいい?
A. 全部取るのはNG。日差しの盾になるので、枯れた先端だけ整えましょう。
Q. 水やりは毎日必要?
A. 表面が乾いたらまとめて深く与える方が効果的。毎日の少量は逆効果。
Q. これは病気の可能性もある?
A. 点状の黒斑や輪紋が広がる場合は病気。まずは環境改善、それでも改善しなければ薬剤や専門家に相談を。
僕が実践しているチェックリスト
- ☐ 新植は雨が降っても水やりする
- ☐ 西日が強い場所は遮光ネットでカバー
- ☐ 根元に腐葉土やバークでマルチング
- ☐ 真夏に強剪定・追肥はしない
- ☐ 秋冬に更新剪定と客土を行う
関連記事でさらに理解が深まります
- [雑木の庭を台無しにしないために|剪定方法の違いを解説]
- [剪定の本当の意味は「枝を切る」ことじゃなかった]
- [真夏前にやっておく庭の準備5つ]
まとめ:失敗は財産
葉が茶色くなるのは、木が出す「SOSのサイン」。
僕自身、何度も「大丈夫やろ」で失敗しました。
でもその経験が、今はお客さんに「同じ失敗を防ぐ提案」をできる強みに。
失敗は誰にでもあります。大事なのはそこで気づいて、改善すること。
次の季節には、必ず元気な新芽を出してくれるはずです🌱
日和舎からのお知らせ
「うちの庭も同じ症状かも?」と思った方は、コメントやDMでも気軽にどうぞ!
“日和舎、今日もいい日。” 庭が整えば、暮らしも整います。