はたらく日和

【独立日記】庭木も人もオシャレは足元から。入れ替え剪定で学んだこと

庭木の剪定と聞くと「上の枝を切って形を整える」イメージが強いかもしれません。
でも実際は、人間と同じで「オシャレは足元から」
足元が乱れていれば庭全体がぼやけてしまい、逆に足元を整えれば庭全体が引き締まります。

この記事を読めば、

  • 足元を整える剪定の重要性
  • 入れ替え剪定・透かし剪定のやり方と効果
  • 職人としての引き出しが増えた学び
  • お客様に喜んでもらえる仕事の姿勢

が分かります。
写真のビフォーアフターを交えながら、独立を目指す職人としてのリアルな気づきを綴ります。


Before:足元が乱れると庭が重たく見える

一見すると緑が豊かで元気そうですが、足元には大きな葉や下草が生い茂りすぎていました。
石段や奥の景色は隠れ、庭全体に重たい印象を与えてしまっていたんです。

人でいえば、靴や足元が汚れているのに上だけ着飾っているような状態。
どんなに枝ぶりが立派でも、足元が整っていなければ全体が決まらない――職人の目にはそう映りました。


After:大きな葉を抜き、若い芽で未来をつくる

今回は 入れ替え剪定 を実践。
中の大きな葉を抜き、若い芽を活かして形を整えました。

さらに 透かし剪定 で風と光の通り道を確保。
石段が顔を出し、奥の庭の奥行きが見えるようになったことで、庭全体に呼吸が生まれました。

ただ減らすのではなく「未来を考えて残す」。
この視点を持つと、仕上がりがぐっと自然で生き生きとしたものになります。


現場で培う技術的な学び

今回の作業で特に実感したのは、以下の3つの技術です。

入れ替え剪定

大きな葉や古い枝を抜き、若い芽に役割を譲る剪定方法です。

  • 芽の向きを意識するのが最大のポイント。外芽を残せば枝は外へ広がり、内芽を残せば内側に枝が入り込む。残す芽一つで木の未来の姿が変わります。
  • 剪定時期も重要で、芽が動き出す前(春先)や成長が落ち着いた時期(秋口)に入れ替えをすると、木の負担が少なく新しい芽が育ちやすいです。
    今回実際に「大きな葉を抜いて若い芽に光を当てる」と、すぐに樹形が軽やかになり、翌年の芽吹きの姿までイメージできました。

透かし剪定

混み合った部分を整理し、風や光の通り道をつくる剪定です。

  • 特に「枝と枝が交差している部分」や「同じ方向に並んでいる枝」を整理することで、全体の流れがスッキリします。
  • 内側まで光が入ると、これまで弱っていた芽も元気を取り戻し、病害虫の発生リスクも下げられます。
    職人としては、剪定後に木の中を風が抜ける瞬間が分かるのが大きな喜びです。「木が呼吸している」感覚を持てるのは、この技術ならではです。

足元を意識する

庭木の足元を整えることは、見た目以上に大切です。

  • 枝を抜くときは、根元から“枝の元”で切ることを徹底する。中途半端に残すと、かえって芽が乱れ、将来の管理が難しくなります。
  • 足元を整理することで、庭石や地面のラインが見えるようになり、庭全体の設計意図が際立ちます。
  • 特に和風庭園では「根締め(ねじめ)」の植栽と呼ばれる足元の配置が庭の印象を決めるため、ここを整えることで庭全体の完成度が高まります。

剪定は「その場をきれいにする」だけの作業ではなく、来年・再来年の枝の流れを想像して残すかどうかを決める判断力が求められます。
剪定の引き出しは多ければ多いほど強みになる。
「入れ替え」「透かし」「足元整理」といった技術を状況に応じて組み合わせることで、同じ木でも仕上がりはまったく違う姿になります。

今回の現場で新しい判断基準を学べたことは、職人としても独立を目指す身としても大きな財産になりました。


見えない部分を大切に

庭の仕事をしていると、お客様の目に見える場所だけを整えれば「とりあえずきれい」には見えます。
でも僕は、それでは本当の意味で庭が整ったとは思いません。

石の影、木の根元、奥まったところに隠れている枝――
そういう「普段は気づかれない部分」こそ、実は庭全体の空気をつくる大事な場所です。

例えば、足元の草をほんの少し整えるだけで石段の表情が変わり、庭に奥行きが生まれる。
誰にも気づかれないかもしれないけれど、そこに手をかけることで庭が自然と呼吸を始めます。

職人として大切にしたいのは、「見せるための仕事」ではなく「庭そのものが生き生きとするための仕事」。
日和舎の剪定は、そうした“見えないところへの心配り”を積み重ねていきたいと思っています。

その先にあるのは、お客様が庭を眺めたときに自然と浮かぶ笑顔。
誰の目にも触れない部分まで手を尽くすことが、結局はお客様の喜びにつながる――そう信じて、今日も鋏を握っています。


お客様とのひととき

作業の合間に、お客様が「3時のおやつにどうぞ」とアイスを差し入れてくださいました。
炎天下で汗をかいたあとのアイスは、体に染みわたるほど美味しい。

その場で「ありがとうございます、美味しいです」と笑い合える時間が、僕にとって一番のご褒美です。
剪定を終えてお客様の笑顔が見られたとき、改めて「こういう仕事をしていきたい」と強く思いました。


独立への道のりとして

独立したら、仕上がりも判断もすべて自分の責任になります。
だからこそ今は、経験を積み重ねて剪定の引き出しを増やすことが何より大事。

  • 技術を学ぶ
  • 丁寧に仕上げる
  • お客様に笑ってもらう

その積み重ねが「日和舎」の仕事を支える力になるはずです。


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まとめ

  • 庭木も人も「オシャレは足元から」
  • 入れ替え剪定と透かし剪定で庭に未来をつくる
  • 剪定の引き出しがまた一つ増えた
  • 見えない部分まで丁寧に整えることで、お客様の笑顔につながる

今日の現場での学びは、独立への道のりの大切な一歩になりました。

庭木の剪定は、ただ枝を切るだけでは本当の美しさは引き出せません。
今回実践した 入れ替え剪定 や 透かし剪定 のように、未来を見据えて若い芽を活かし、足元を整えることがとても大切です。

人間と同じように「オシャレは足元から」。
足元がきれいに整えば、庭全体の雰囲気が引き締まり、風通しや日当たりも改善されます。

また、職人として 見えない部分まで丁寧に仕上げる姿勢 が、お客様の満足や笑顔につながります。
こうした小さな積み重ねが、自分の技術を磨き、独立後に信頼される仕事へとつながっていくはずです。

庭木の剪定を考えている方も、独立を目指す職人仲間も、「足元を整える大切さ」をぜひ意識してみてください。


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