メンテナンス術

灯台躑躅(ドウダンツツジ)の剪定と育て方|花の可愛さと職人が大切にする枝ぶり

 庭に四季を運んでくれる樹木のひとつ、灯台躑躅(ドウダンツツジ)。
春にはすずらんのような白い花を咲かせ、秋には鮮やかな紅葉を見せてくれる、とても魅力的な庭木です。

丸みのある樹形も可愛らしく、庭に植えておくだけで和風にも洋風にも馴染むのですが、「自然に任せておけば大丈夫」というわけにはいきません。放っておくと枝が混み合ってしまい、花芽がつきにくくなったり、紅葉の色づきが悪くなることもあります。

剪定は「ただ枝を切る作業」ではなく、「来年の景色を整える仕事」。
今回は実際の現場での剪定を例に、灯台躑躅の生態や剪定方法、そして僕が感じたことをまとめてみます。


灯台躑躅(ドウダンツツジ)の特徴と生態

名前の由来

枝分かれが規則的で、結び灯台の形に似ていることから「灯台躑躅」と呼ばれるようになったそうです。漢字で書くと少し難しく見えますが、園芸の現場では「ドウダン」と呼ぶことが多いですね。

生態の特徴

  • 分類:ツツジ科ドウダンツツジ属の落葉低木
  • 樹高:2〜3m程度に収まるため、庭木として扱いやすい
  • 開花:4〜5月頃、すずらんのような小さな白い花を下向きに咲かせる
  • 紅葉:秋には鮮やかな赤に染まり、四季を感じられる
  • 環境:日当たりと水はけのよい場所を好み、やや酸性の土壌で元気に育つ

📖 参考:農林水産省「樹木の特性と植栽管理」

ドウダンツツジは日照不足では花芽が付きにくく、過湿地では根腐れを起こしやすい。健全な生育を確保するためには、透かし剪定などにより枝内に光と風を通すことが重要である。

つまり、自然のままに見えても「光と風の道」をつくることが育てる上で欠かせないんです。


剪定の基本とコツ

剪定の適期

  • 花が咲き終わった直後(5〜6月)がベスト。
  • 灯台躑躅は前年の夏に翌年の花芽をつけるので、秋以降に強剪定すると花芽を落としてしまうことがあります。

剪定のポイント

  • 透かし剪定:内側に込み合った枝を抜いて、光と風を通す
  • 花芽を意識する:小さな芽を観察して、残す枝を決めてから切る
  • 徒長枝を整理:勢いよく伸びすぎた枝は樹形を乱すので、根元から整理
  • 下からの視点:職人は木の下から見上げて、全体の流れを確認しながら剪定

📖 参考:園芸学会「樹木管理技術」

ドウダンツツジは枝の更新が盛んであるため、徒長枝を放置すると樹形が乱れる。剪定は更新と維持を意識し、内部に空間を残すことが肝要である。

僕自身もこの言葉を意識していて、「どこを切るか」より「どの枝を残すか」を大事にしています。

👉 剪定の考え方については、こちらの記事も参考にしてください。
➡ 剪定の本当の意味は「枝を切る」ことじゃなかった


灯台躑躅の魅力|花と紅葉

  • 春の花:小さなベルのような白花が枝いっぱいに咲き、風に揺れる姿は本当に可愛い。
  • 秋の紅葉:庭全体を赤く彩るほど鮮やかで、モミジに負けない存在感がある。
  • 一年を通して楽しめる:常緑樹のように庭に安定感を与えつつ、季節ごとの変化をはっきり感じさせてくれる貴重な存在。

家庭の庭に1本植えておくだけで、四季の移ろいを感じる「暮らしの軸」になってくれる木だと思います。


僕が感じる剪定の楽しさ

今回の剪定では、あえて大きく形を変えずに、細かい枝を抜くことを意識しました。
一見「どこ切ったの?」と思うくらい自然に仕上げたのですが、それでいいんです。

  • Before(剪定前の姿)
  • After(自然に整った仕上がり)
  • After下から(枝ぶりを下から見上げた構図)

下から見上げたとき、枝と枝の間に空気の道ができているのを確認できました。
それが「剪定の答え」だと思います。

剪定は今の見た目を整える作業ではなく、これからの季節を準備する作業。
「未来の景色をつくる仕事」なんだと改めて感じます。

👉 僕が「未来を意識した剪定」について書いた記事もぜひどうぞ。
➡ プロの剪定屋が大事にしている4つのコツ


よくある失敗例と注意点

  • 花芽を切り落としてしまい、翌年花が咲かない
  • 外側だけを刈り込んで、内側が蒸れて枯れやすくなる
  • 高さを揃えようと切りすぎて、不自然に丸くなってしまう

プロとしては「自然な樹形を保ちながら、未来の枝を残す」ことを第一に考えています。

👉 失敗例や反省をまとめた記事はこちらも参考にしてください。
 植木屋が語る、僕の失敗談とそこから学んだこと


まとめ

  • 灯台躑躅は「花・紅葉・樹形」を楽しめる人気の庭木
  • 剪定は花後(5〜6月)が基本。花芽を残す意識が大事
  • 下から見上げた枝ぶりを意識すると、自然な樹形が整う
  • 剪定は“今を整える”だけでなく、“未来の景色づくり”

✏️ 剪定のコツや庭木の豆知識は、ブログ「日和舎、今日もいい日。」にもまとめています。
👉 プロフィールのリンクからぜひご覧ください。

今日もひとつ、職人として大事にしたい確認を自分の手で形にできました。
今日もいい日。


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