「庭木を少し整えたい」
「枝が伸びすぎてきたから切ろうかな」
そんなとき、つい家にあるハサミやほうきで何とかしようとしがちですが…途中で「切れない・集まらない・片付けられない」という壁にぶつかります。
この記事を読めば、
- 庭木の手入れに必要な道具がすべてわかる
- どの順番で使えば効率的に仕上げられるかがわかる
- プロが現場で使う“失敗しない道具選び”のコツがわかる
私は植木屋として現場経験を積む中で、**“これさえあれば庭木手入れは完結する”という8つの道具にたどり着きました。
今回はそれらを「午前中でサクッと庭を整える」**という流れに沿ってご紹介します。
STEP1|剪定パート
1. 岡恒 剪定鋏ユニーク200mm
中枝〜やや太枝まで幅広く対応できる万能鋏。
独特な刃の角度が手首の負担を減らし、切れ味も抜群。
「とりあえず1本」なら間違いなくこれです。
中枝からやや太めの枝まで、幅広い剪定作業に対応できる万能鋏です。最大の特徴は、刃の角度がわずかに内側へ傾いて設計されている点。これにより枝に対して自然な角度で刃が入り、手首や肘への負担が軽減されます。長時間作業しても疲れにくく、握力の消耗も最小限に抑えられます。
切れ味はまさに“プロ仕様”。ステンレス鋼の強靭な刃が、枝の繊維をつぶさずスパッと切断。切り口がきれいに仕上がるため、樹木へのダメージも少なく、病害の予防にもつながります。
私は現場で1時間以上連続して使うこともありますが、作業後の手の疲れ方が一般的な剪定鋏とは段違いです。庭木の形を整える細かな作業から、直径2cm程度の太枝の処理まで、これ1本でこなせる信頼の相棒。初心者から職人まで、まずは最初に揃えてほしい一本です。
実際、現場では1時間以上連続で使うこともありますが、疲労感が全く違います。
2. 岡恒 植木ハサミ No.201(皮サック付)
細枝・花木・果樹に特化した軽量モデル。
細枝や花木、果樹の剪定に特化した軽量モデルです。刃先が細く長いため、枝葉の間にスッと入り込み、狙った部分だけを正確にカットできます。特にツツジやサツキなど込み入った枝の多い低木や、花芽を傷つけたくない果樹の手入れに最適です。
重さが軽く、長時間の使用でも手首や腕の疲労が少ないため、家庭での細かな作業にも向いています。付属の皮サックは腰ベルトや作業ズボンに取り付け可能で、作業中に手を伸ばせばすぐに取り出せるので、ちょっとした枝や葉を見つけた瞬間に対応できます。
私は現場ではこのハサミを「細工用の相棒」と呼んでいます。大型の剪定鋏では難しい枝先の微調整や、花後の切り戻し作業、果樹の徒長枝処理など、このハサミがあることで作業の精度が格段に上がります。庭木全体のバランスを整える仕上げ工程にも欠かせない一本です。
ユニークとこのNo.201を腰にセットしておくと、ほぼ全ての枝に対応できます。
3. シルキー ゴムボーイ 荒目240mm
太枝専用の秘密兵器。
荒目刃は切断スピードが速く、240mmの刃長で直径5〜10cm級も楽勝。折りたたみ式で安全性も高い。
太枝処理のために欠かせない、まさに“秘密兵器”とも呼べる折りたたみ式のこぎりです。刃は荒目仕様で、繊維をかき分けるようにグイグイ進むため、切断スピードが非常に速いのが特長。240mmの刃長は取り回しやすく、直径5〜10cm程度の枝であれば力を入れすぎずにスムーズに切り落とせます。
刃にはサビや摩耗に強い特殊加工が施されており、長期間の使用でも切れ味が落ちにくい構造。折りたたむと刃が本体に完全に収納されるため、安全性が高く、腰袋や工具バッグにもそのまま入れられます。
現場では「無理に剪定鋏で太枝を切らない」のが鉄則。鋏で挑戦して刃こぼれしたり、手首を痛めたりするより、このゴムボーイで一気に切った方が速くてきれいに仕上がります。特に樹形を大きく整える作業や、古い枝を元から落とすときに威力を発揮する一本です。
現場では「無理に鋏で切らない」ことが大切。のこぎりがあると、刃こぼれや疲労を防げます。
STEP2|掃除パート
4. 藤原産業 千吉 ローンクマデ 25本爪
粗ごみ集めの第一段階。
落ち葉や切った枝をザクザク集められ、立ったまま作業できるので腰に優しい。
剪定後の掃除で、まず最初に活躍するのがこの25本爪の熊手です。落ち葉や切った枝を一気にかき集められる幅広ヘッドで、庭や芝生、砂利の上でも効率よく作業ができます。爪が25本もあるため、一度の動作で集められるゴミの量が多く、何度も同じ場所を往復する必要がありません。
柄の長さがしっかりあるので、立ったまま自然な姿勢で作業でき、腰や膝への負担を大きく減らせます。特に広い庭や、剪定後に大量の枝葉が出る現場では、この熊手があるかないかで掃除時間が半分近く変わることもあります。
私の現場では、まずこの熊手で粗ごみを一カ所に集め、その後に竹ぼうきで細かいゴミを仕上げるのが定番。掃除の第一段階を短時間で終わらせ、次の工程にスムーズに移れる頼れる道具です。
私はまず熊手で全体を集めてから、次の竹ぼうきで仕上げます。この順番が効率のカギ。
5. 竹屋さんの高級手ぼうき
仕上げ掃きの王様。
熊手で集めた後、竹ぼうきで砂や細かい葉をきれいにすると、庭の印象がガラッと変わります。
掃除の仕上げに欠かせない、まさに仕上げ掃きの王様です。熊手で粗ごみを集めた後、この竹ぼうきで細かい砂や小さな葉くずまできれいに掃き取ることで、庭全体の印象が一気に整います。
職人が丁寧に仕上げた竹のしなりは、地面の凹凸にも自然にフィットし、砂利の隙間や石畳の溝に入り込んだ細かいゴミもしっかり絡め取ります。柄の長さや重さのバランスも絶妙で、軽い力で大きく掃けるため、長時間の作業でも疲れにくいのが特長です。
現場では「仕上げ掃きの質」が作業全体の完成度を決めます。どれだけ剪定や粗掃きがきれいでも、最後のひと掃きが中途半端だと全体がぼやけて見えるもの。この竹ぼうきは、そんな仕上げ工程を職人レベルに引き上げてくれる一本です。
仕上げを省くと「やった感」が半減します。最後までやると達成感も倍増。
STEP3|片付けパート
6. 安全興業 てみ(大サイズ)
ゴミ回収の必需品。
庭仕事の片付けをスムーズに終わらせるためのゴミ回収の必需品です。熊手や竹ぼうきで一カ所に集めた枝葉や落ち葉を、サッとすくってゴミ袋や作業袋に移せる形状になっています。先端が広く浅い形なので、一度に大量のゴミをすくえるうえ、地面との接地面積が広く、小さな葉や細かい枝も取りこぼしません。
素材は軽量で丈夫なプラスチック製。片手で楽に持ち上げられるため、繰り返し作業をしても腕や腰への負担が少なく、テンポよく片付けを進められます。持ち手部分は手にフィットしやすく、手袋をしていても滑りにくい設計です。
現場では、てみがあるかないかで作業の効率が大きく変わります。手で直接拾うと時間も体力も消耗しますが、このてみを使えば、作業の最後までスムーズな流れを保ったまま片付けを完了できます。
7. ユタカメイク 虎畚(とらふご)300L
大量ゴミ運搬の王様。
耐候性抜群の大容量袋で、剪定ごみや落ち葉をまとめて車まで運べます。何度も往復せずに済むのが魅力。
剪定ごみや大量の落ち葉を一気に運ぶための大量ゴミ運搬の王様です。容量は300Lと圧倒的で、軽トラやワゴン車にそのまま積み込めるサイズ感。広口タイプなので、熊手やてみで集めた枝葉をそのまま豪快に放り込めます。
素材は耐候性に優れたポリエチレン製で、日差しや雨にさらされても劣化しにくく、屋外作業で長期間使えます。底部や縫い目も丈夫に補強されており、枝やトゲのある葉を入れても破れにくい設計です。使わないときは折りたたんでコンパクトに収納できるので、場所も取りません。
現場では、この虎畚にゴミをまとめれば何度も往復する必要がなくなり、片付け時間を大幅に短縮できます。大量のごみを軽く効率的に運べるこの袋は、家庭の庭作業から本格的な造園現場まで、あらゆるシーンで頼れる相棒です。
STEP4|安全対策パート
8. ハチアブマグナムジェット
蜂・アブ対策の必需品。
作業前に周囲を確認し、危険があればこれで駆除&予防。夏〜秋は特に必携。
庭仕事や剪定作業中の思わぬ危険といえば、蜂やアブの飛来・巣作りです。特に夏〜秋にかけては活動が活発になり、気づかず作業を続けると刺されるリスクが高まります。ハチアブマグナムジェットは、そんな危険を事前に回避するための必需品です。
強力な噴射力で、約10m先まで薬剤を届かせることができるため、安全距離を保ったまま駆除や予防が可能。さらに、巣作りを抑える成分も含まれており、剪定前に樹木や軒下、作業エリア周辺に吹きかけておけば、作業中の蜂の接近を減らせます。
現場経験から言うと、「蜂がいるかもしれない」と思いながらの作業は集中力が落ち、ケガの原因にもなります。事前にマグナムジェットで安全を確保することで、安心して作業に集中できる環境を作れるのです。庭木の手入れに限らず、アウトドアや家庭菜園など屋外活動全般に役立つ、心強い1本です。
現場では蜂に気づかず作業を続けるのは本当に危険。安全あってこその庭仕事です。
8つを揃えるメリット
- 作業効率が飛躍的にアップ
- 体への負担が軽減
- 仕上がりがプロ級に
- 安全性が高まる
手打ち鋏も使ってみたいなと思えたらコメントください!
そちらの記事も紹介します。

まとめ
庭木を少し整えるだけでも、道具が揃っているかどうかで作業の質は大きく変わります。今回紹介した8つは、プロの現場でも通用する性能を持ちながら、家庭の庭作業にも使いやすく、長く付き合える頼もしい相棒です。
「切る」「集める」「片付ける」「安全対策」
この4つの流れに沿って道具を揃えれば、途中で作業が止まったり、仕上がりに妥協することもありません。
休日の午前中に庭をサッと整えて、午後はのんびりお茶を楽しむ。そんな余裕のある時間を作るために、まずはこの8つを揃えてみませんか?
日和舎のInstagramでは、今回紹介した道具の使い方や、実際の作業風景も写真付きで発信しています。@hiyoriya_space を覗いてみてください。
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庭も暮らしも、ちょっとの工夫でぐっと快適になります。次の休日は、庭仕事を楽しむ時間にしてみましょう。