メンテナンス術

シマトネリコの剪定と注意点|「最初は可愛い」から数年で巨大化する前に知っておきたいこと

導入(よくあるお悩み)

庭や玄関のシンボルツリーとして人気のある シマトネリコ
常緑で一年中緑が楽しめ、涼しげで柔らかな雰囲気が魅力です。

でも実際にお客様からいただく声はこんなものが多いんです。

  • 「建物の近くに植えたら、数年で外壁や窓に当たるようになった」
  • 「植え桝が小さくて、抜くに抜けない」
  • 「幹が太くなりすぎて“可愛い”どころじゃない」
  • 「数年放置したら、とんでもない大きさに…」

シマトネリコは植えたては本当に可愛い木です。
細い幹がそよそよと風に揺れて、柔らかな印象を与えてくれる。

ですが、その印象のまま「小さい木だろう」と思って植えると、数年で予想外の巨大樹に育ち、後悔するケースが非常に多いんです。

この記事では、シマトネリコの生態や注意点、実際の剪定事例、僕自身の失敗談と成功談を交えて、「植える前に知っておきたいこと」をお伝えします。
さらに、もしシマトネリコを避けたい場合の代替樹種の候補
も紹介します。


シマトネリコの特徴と成長の速さ

一年中楽しめる常緑樹

シマトネリコは常緑樹で、冬でも葉を落とさず、いつも緑を楽しめます。
細やかな小葉が風に揺れる姿は、ナチュラルな庭にもモダンな建物にも馴染みやすく、新築住宅での採用率が非常に高い樹木です。

成長が早い=最大の落とし穴

一方で、最大の特徴であり欠点でもあるのが成長スピードの速さです。
シマトネリコは1年に1〜2m伸びることも珍しくなく、放任すると 最終的に10m以上 にも達する可能性があります【国交省「都市緑化植物名鑑」より】。

つまり、植えたときに1m程度の苗木でも、数年で建物を越す高さにまで育ってしまうのです。

👉 関連記事:雑木の庭を台無しにしないために|剪定方法の違いを解説


お客様がよく悩むケース

僕の仕事の現場でも、シマトネリコに関する相談は本当に多いです。
特に次のようなケースが目立ちます。

  1. 建物と近すぎる
     数年で外壁や窓に枝が干渉。景観だけでなく、建物へのダメージリスクも。
  2. 植え桝が小さい
     根が張ると移植が難しく、抜根には重機が必要。想像以上に費用がかかることも。
  3. 幹が太くなり“可愛くない”
     株立ちの細い幹が魅力だったのに、数年でゴツい幹に変わり「イメージと違う」と後悔。
  4. 数年放置で巨大化
     「気づけば家より大きい」という事例も珍しくなく、管理が難しくなる。

失敗談(お客様の声)

「最初は小さくてそよそよ可愛いと思って植えたんです。でも数年後には家の2階を越してしまい、どうにもならなくなってしまいました。」

こうした声を聞くたびに、「植える前に伝えてあげたいな」と強く感じます。


現場のビフォーアフター|毎年の剪定で守れるサイズ感

今回ご紹介するBefore/After写真のシマトネリコは、決して大きくありません
それは毎年プロの手で剪定をして、サイズをコントロールしているからです。

Before(剪定前)

  • 枝葉が茂り、玄関まわりが少し重たい印象に
  • 下枝が広がって動線が狭く感じる

After(剪定後)

  • 重なり枝や内向き枝を整理して風と光の通り道を確保
  • 幹の流れを見せて軽やかな印象に
  • 玄関まわりが明るくなり、空間が広がったように見える

成功談
このように毎年(年1回程度)プロが手を入れることで、大きさを抑えつつ、シマトネリコ本来の“爽やかで可愛い姿”を長く保てます。
「放置してから強剪定」ではなく、「定期的な軽い手入れ」が何よりのポイントです。


シマトネリコの剪定方法とコツ

① 風と光の通り道をつくる

透かし剪定で枝葉を整理。蒸れを防ぎ、病害虫のリスクを下げます。

失敗談(僕自身)
若い頃、透かしすぎてスカスカにしてしまい、夏の直射日光が家に入り込んで逆効果に。
「残す枝の役割」を理解することの大切さを学びました。

② 内向き枝・重なり枝を整理

幹に向かって伸びる枝や交差している枝は形を乱す原因。早めに間引くことで、将来の樹形が整いやすくなります。

③ 幹の流れを見せる

シンボルツリーは「家の顔」。幹のラインを意識するだけで印象が大きく変わります。

👉 関連記事:剪定の本当の意味は「枝を切る」ことじゃなかった

具体的な剪定方法についてはこちらの記事で詳しく書いています。


プロがシマトネリコを安易にすすめない理由

国交省や園芸学会の資料でも、シマトネリコは成長が早く、最終的に高木化する樹種とされています。
狭小住宅地や建物に近い場所には適していない、と専門書でも繰り返し指摘されています。

僕自身も正直に言うと、シマトネリコは安易におすすめしません
どうしても植えたい場合は、

  • 建物や境界から十分に距離をとる
  • 植え桝を広く確保する
  • 毎年の剪定を前提に考える
  • 将来の抜根や植え替えも想定しておく

といった計画性が不可欠です。


代替樹種のおすすめ

シマトネリコを避けたい、あるいはもっと管理しやすい樹を選びたい方へ。
現場でおすすめできる代替樹種をご紹介します。

ソヨゴ(常緑・雌雄異株)

  • 成長が遅く剪定の手間が少ない
  • 赤い実が可愛い(雌株)
  • 目安:庭植えで3m前後に収まりやすい

常緑ヤマボウシ

ヤマボウシの花
  • 初夏に白い花が咲き、上品な印象
  • 成長は穏やかで5~7m程度に収まることが多い
  • 剪定少なめでも形が整いやすい

アオダモ(落葉樹)

  • 枝ぶりが繊細で、幹に白い斑点が美しい
  • 夏は木陰、冬は落葉で光を取り込む
  • 成長は中庸で、自然樹形が楽しめる

ヒメシャリンバイ(常緑低木)

  • 2〜3mで収まりやすい
  • 春の花や実も楽しめ、玄関前の“可愛い+管理ラク”枠にぴったり

まとめ|シマトネリコとどう付き合うか

シマトネリコは爽やかで人気の庭木ですが、**「最初は可愛いが数年で巨大化」**というリスクを持っています。

  • 建物に近すぎるとトラブルのもと
  • 植え桝が小さいと抜けない
  • 幹が太くなり、雰囲気が変わってしまう
  • 放置するととんでもないサイズに

今回ご紹介した写真は、毎年プロが剪定をして大きさをコントロールしている良い例です。
このように、定期的な手入れを続ければ「爽やかで可愛い」姿を長く楽しめます。

ただし、「知らずに植えて後悔する」ケースが非常に多いのも事実。
もしこれからシンボルツリーを植えるなら、ソヨゴ・常緑ヤマボウシ・アオダモ・ヒメシャリンバイといった代替樹種も候補に入れて検討してください。

👉 庭木は「今」だけでなく「10年先の姿」を想像して選ぶことが大切です。

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今日もいい日。