──「半分ウソ・半分ホント」を植木屋が現場目線で正直に話します

「常緑樹は冬に剪定しない方がいい」
こんな言葉、聞いたことがある人は多いと思います。

でも実際に仕事をしていると、
「いや、普通に冬でも切ってるやん」
って思う場面、ありませんか?

この違和感、めちゃくちゃ大事です。

結論から言うと、
どっちも正しいし、どっちも間違っていません。

この記事では、

  • なぜ「常緑樹は冬剪定に向かない」と言われるのか
  • それでも現場では、なぜ冬に剪定するのか
  • どこまでならOKで、どこからがNGなのか

を、現役植木屋の実感ベースで、できるだけ分かりやすく整理します。


結論|常緑樹は冬に剪定しても本当に大丈夫?

結論から言うと、
常緑樹の冬剪定は「やり方次第」でOKにもNGにもなります。
ここでは、現場で実際に判断している基準をもとに解説します。

常緑樹の冬剪定は、
「やれるけど、やり方を間違えたらあかん」

これが、現場の答え。

具体的には、

  • 強剪定・形を大きく変える剪定
     → 冬は基本向かない
  • 軽剪定・混み枝整理・安全管理
     → 冬でも問題なくやる(=現場では普通)
庭木の剪定前
シマトネリコ剪定前
庭木の剪定後
シマトネリコ剪定後

👉 冬剪定そのものの意味や考え方は、
こちらの記事で詳しく書いています。
「冬の剪定の意味とは?なぜ寒い時期に木を切るのかを植木屋が解説」


なぜ「常緑樹は冬剪定に向かない」と言われるのか?

ここからは、「向かない」と言われる理由。
これは知識としてちゃんと正しい部分です。

理由① 冬でも葉っぱが働いているから

常緑樹は、冬でも葉を持っています。
つまり、冬でも光合成をしながら、体力を維持している状態。

光合成の様子
光合成の様子

ここで強く切ってしまうと、

  • 葉を一気に失う
  • エネルギー不足になる
  • 回復が春までできない

という状況になりやすい。

春〜初夏なら
「切る → 芽吹く → 回復」
ができますが、

冬は
「切る → 回復待ち(長い)」。

これが、冬剪定が難しい一番の理由です。


理由② 葉焼け・寒風ダメージが出やすい

冬に強く透かすと、
それまで葉で守られていた内側に、

  • 直射日光
  • 冷たい北風

が一気に当たります。

現場でよく聞く、

「冬に切ったら葉が茶色くなった」
「なんか弱った気がする」

という声の多くは、
剪定そのものより、剪定後の環境変化が原因です。

👉 葉が茶色くなる原因については、
こちらの記事でも詳しく触れています。
「庭木の葉っぱが茶色く焼けた!僕の失敗と学びから伝える、原因と本気の対策【保存版】

葉の葉脈
葉の葉脈

理由③ 切った姿のまま、長くさらされる

落葉樹なら、
冬に切っても春に芽吹いて整います。

でも常緑樹は、
切った姿がそのまま何ヶ月も続く。

見た目を大事にする庭では、
ここがマイナスになりやすい。

だから
「常緑樹は冬剪定に向かない」
と言われるわけです。


じゃあ、なんで現場では冬でも剪定するの?

ここが一番大事なところです。

冬でも「普通にやる」剪定がある

⭕ 軽剪定(透かし・整理)

  • 枯れ枝
  • 混み枝
  • 絡み枝
  • 明らかに不要な徒長枝

こういう部分は、
冬でも問題なく整理します。

むしろ、
樹勢を落とさず春を迎えさせる準備としては、
ちょうどいい作業です。


剪定後の黒松

⭕ 安全・管理目的の剪定

  • 道路にはみ出している
  • 隣地に越境している
  • 台風・雪への対策

これは、季節よりも優先度が高い剪定

「冬だから切らない」より、
「今、危ないかどうか」が大事です。


⭕ 現実的な理由(仕事の話)

年末年始は依頼が増える。
空き家や管理物件は冬に頼まれることも多い。
年1回しか剪定できないお客さんもいる。

だから現場では、
冬に剪定するケースは普通にある

それを、
無理のない範囲で、
木を見ながら判断してやる。

これは、職人としてまったく間違っていません。

👉 年末〜冬の庭仕事全体については、
こちらも参考になります。
「秋から冬にかけての庭仕事チェックリスト|来年につながる庭支度」


❌ よくある書き方
「常緑樹は冬剪定に向きません」

⭕ プロっぽい正解
常緑樹は、強く切る剪定は冬に向きませんが、
軽い剪定や管理目的の剪定であれば、
冬でも問題なく行われています。

この一文があるだけで、
「現場を知ってる人の文章」になります。


実体験|冬にツバキを切りすぎて、花が咲かなかった話

これは、僕自身の失敗談です。

昔、担当していた庭で
「スッキリさせたい」という流れになり、
冬にツバキを少し強めに剪定してしまいました。

結果、翌年は花がほとんど咲かず…。
お客さんと二人で、正直かなりガッカリしました。

この経験で学んだのは、

「冬剪定ができる=切ってOK」ではなく、
この木は、何のために枝を残すのかを考えること
が、剪定の本質だということ。

👉 ツバキの剪定時期と考え方は、
こちらの記事で詳しくまとめています。
「椿の剪定方法|花も樹形も大切にするために」


僕が冬剪定で大事にしている判断基準

自分の中で、いつも基準にしているのはこれです。

この剪定で、
春にこの木はどう動くか?

冬に切るときほど、
切った「あと」の時間を長く想像します。

  • 回復までの期間
  • 見た目が続く時間
  • お客さんが毎日見る景色

それを考えて、
「今日は切る」「今日は触らない」を決める。

常緑樹の冬剪定は、
技術よりも判断力が問われる仕事やと思っています。


Q&A|よくある質問

よくある質問として、現場で多いものをまとめました。

Q. 常緑樹は冬にまったく切らない方がいい?

A. いいえ。
強剪定は避けるべきですが、軽剪定や安全目的の剪定は冬でも普通に行われます。

Q. 冬に切って葉が茶色くなったのは失敗?

A. 必ずしも失敗とは限りません。
剪定後に直射日光や寒風が当たった影響のことも多く、春に回復するケースもあります。

Q. 自分でやるなら、どこまでなら安全?

A.

  • 枯れ枝
  • 明らかに邪魔な枝
  • 少量の透かし
    までに留めるのが無難です。
    迷ったら「切らない」判断も正解です。

まとめ|常緑樹の冬剪定は「やれる。でも考える」

この記事のポイントをまとめると

  • 強剪定は冬に向かない
  • 軽い整理剪定なら可能
  • 迷ったら切らない判断も正解

「冬だからダメ」でも、
「冬でも全部切れる」でもない。

木を見て、未来を考えて切る。

これが、常緑樹と長く付き合う剪定やと思います。


日和舎からのお知らせ

「この木、冬に切っても大丈夫かな?」
写真1枚あるだけで、判断しやすいことも多いです。

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